清風寮物語の第二弾。
今回は、
「地獄!夜の新人研修」
をお届けします。
いよいよ本格的な新人研修が始まりました。
研修期間は約1か月。
社会人としてのマナー、RENOWNの歴史、会社の組織、社内規則、ブランドに
ついてなど、社会人として必要なことを一から徹底的に学びます。
……と、普通ならここで、
「大変な研修でした」
という話になるところですが、
今回の「地獄」は、研修そのものではありません。
本当の地獄は、研修が終わってから始まったのです。
それは夜の新人研修
研修が終わって寮に戻ると、僕たちは数人のグループに分かれて、先輩たちとの部屋飲み会が始まります。
時間は夜9時くらい。
そして終わるのは……
午前2時、3時。
翌日は別の先輩の部屋。その翌日は、また別の先輩の部屋。
それが毎日のように続きます。
先輩たちは翌日が休みだったり、有休を取っていたりするので、夜遅くまで飲んでも大丈夫。
でも僕たちは違います。
翌朝には、また新人研修が待っています。
当然のことながら……
僕たち寮生は、研修中ほとんど寝ていました。
そして、ある日ついに人事の研修担当者から怒られます。
「寮生は全員、前の席!」
とうとう一番前の席に座らされることになりました。
でも、前に座ったからといって眠気がなくなるわけではありません。
眠いものは眠い。
毎晩のお酒の洗礼(先輩たちは嬉しかったのだと思います)
今振り返っても、こんなに毎日お酒を飲んだことは、人生でこの時期しかありません。
しかも、飲み会で出てくるのは、ウイスキーだったり焼酎だったり。
どれもかなり安いボトルです。
そして……
氷は、たまーにありました。つまみもたまにありました。
ただ先輩のおごりなので、文句を言うわけにもいきません。
飲んで、しゃべって、また飲んで。
そして気がつけば午前2時、3時。
翌朝は新人研修。
そりゃあ、眠くなりますわな。
僕は、そもそもそんなに酒飲みではなかったです。
実は僕は、大学時代にガンガンお酒を飲む習慣はありませんでした。
と言うのは、大学時代は家が高校に近いという理由で、高校時代の部活のコーチを任されてしまったのです。
大学の授業が終わると、また高校へ。これは僕の意思ではなく、高校の監督からの命令でした。
監督から「大学に行ったら何をやるのか?」と聞かれたので、
僕は「失われた青春を取り戻すのです」と答えたら、こうなってしまいました(涙)
そんな生活だったので、大学生らしい生活をやっていたわけではありません。
そんな僕にとって、
毎晩の深夜までの飲み会。
これは本当に地獄でした。
そして自宅組との差が広がっていく
研修が中盤に差しかかる頃になると、自宅から通っている同期との違いが、
どんどん大きくなっていくのが分かりました。
最初は焦りました。
「俺、このままで大丈夫か?」と・・・
でも、途中からそんなことを考える余裕すらなくなりました。
もうMDがどうのこうのなど、まったく頭にはなかったです。
もう、とにかく……
寝たい。
それだけでした。
そして、女子社員との合同の飲み会
女子社員の研修最終日に、男子社員との合同の飲み会が会社で用意されました。
研修は男女別々。
女子社員は2週間で先に配属されました。
第一弾で書いた入社式の日は、僕たち寮生は二日酔いでフラフラ。
女子社員の顔を見る余裕など、まったくありませんでした。
でも、この日は違います。
じっくり女子社員を見ると……
びっくりするくらい可愛い女子ばかりでした。
ほとんどがお嬢様学校の卒業。

当時のRENOWNは、男女ともに一流大学出身者が多い会社でした。
「これは、ぜひ仲良くなりたい!」
僕たちはそう思いました。
ところが……
現実はそんなに甘くありません。
寮生、完全に孤立する
女子社員からすると、僕たち寮生の第一印象は最悪です。
あの入社式の日、
頭はボサボサ。
髭は剃っていない。
ネクタイはよれよれ。
スーツもきちんとしていない。
そして、どう見ても二日酔い。
そんな僕たちを見て、
「この人たちとは、あまり関わりたくない」
と思われても仕方ありません。
それに東京から来た僕たちは、関西のノリもよく分かりません。
結局、寮生だけで固まって、会場の隅の方で飲んでいました。
それに比べて、自宅から通っている同期たちは、女子社員たちと楽しそうに話しています。
僕たちも楽しく話したかった。でも、どうにも入っていけません。
そして僕たちは、そのまま寮に帰りました。
すると……
そして今日もまた、先輩との飲み会が待っていました・・・
そんな一か月に及ぶ研修の最終日がついにやってきました。
本当に長い、長い研修でした。
僕はここで何を学んだか?まったく覚えていません。
今覚えているのは、ただただ眠たかった事だけです。
新人研修の最終日の午前中は、2年目の先輩との研修でした。
人事から「君たちに一番近い先輩だから、何でも遠慮なく聞いてくれ」とのことでした。
そして先輩たちが部屋に入ってきました。
営業、人事、システムなど様々な職種の先輩たちが8,9名呼ばれていました。
その中に寮の先輩が4人いました。
そして質問タイムが始まります。
するとさっそくまた、優等生ぶった自宅生から質問が上がります。
「社会人としてのもっとも大切な心構えを教えて下さい」とか「社会人になって
大変な事は何でしたか?」などのくだらない質問ばかりでした。
僕は当たり障りのない質問しやがって!と心の中でつぶやいていました。
すると、するとですよ、
ずっと研修中に誰よりも寝ていた寮の同期が手を挙げました。
寮生はみんなびっくりしました。
どんな質問をするのか?と思ったら、
「僕は寮生で、二人部屋なので中々できません。先輩たちはどうしていますか?」という衝撃的な質問をするのです。
僕は当然、人事は「そんなくだらない質問するな!」と言うのだろうと思って
いたら、人事の人は、「そういう質問は寮生がいいな」と言って寮の先輩たちに答えるように言いました(驚)
もし僕だったら、「そんなもん、自分で考えろ!」と言うと思うのですが、先輩たちは答えてくれるのですよ!!!
一人目は「僕は九州担当の営業だから、出張に行ったときにまとめてします」
と言い、
二人目は「僕は彼女がいるので、週末に彼女の家に行きます」と答え、
三人目は「僕はたまに、香里園のお店に行きます」と言って、そのお店の名前、システム、料金まで教えてくれました。
四人目は、「僕は部屋の相方は出張が多いので、隙を見てします」と答えました。
先に人事に配属された同期の新入社員の女子はずっと下を向いていました。
僕は先輩たちが大好きになりました。
こんなくだらない質問にも真面目に答えてくれる先輩たちは、何かとても素敵に見えました。
寮に住んでいるからこそ、この気持ちを切実に理解してくれたから答えてくれたのだなと思うと、最初はとても怖かった先輩たちが、なんか優しく思えて、
急に身近に感じて、何だか頑張れそうだと思いました。
そんな研修の最終日でした。
最初は嫌で仕方なかった清風寮の生活。
でも今振り返ってみると、僕がRENOWNという会社で頑張れたのは、こうした
先輩や同期との時間があったからなのかもしれません。
あの時は「地獄だ」と思っていた毎日が、何十年も経った今では、大切な思い出
になっています。
長かった新人研修が、ようやく終わりました。
でも、僕の清風寮での本当の物語は、ここから始まるのです。


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