寮の生活も4、5ヶ月経つと、色々なやっかいなことがわかってきます。
そのひとつが洗濯問題でした。
考えてみて下さい。
50人の共同生活です。
みんな洗濯します。
平日は忙しいので基本、洗濯は土日にやる人がほとんどです。
百貨店の営業マンは平日が休みなので、その人は平日にやりますが、それでも
多くの人が週末にやります。
僕は木曜が休みだったのですが、疲れ切って起きたら夕方だったこともあり、
結局週末にやることが多かったです。
洗濯機は屋上に二台置いてありました。
今のように、一度ボタンを押せば脱水までやってくれるわけではありません。
ですから若い人は見たことがない洗濯機だと思います。
洗濯機は、洗濯する槽と脱水する槽が分かれていました。
洗濯が終わった時点で、脱水の槽に移さないといけません。
そして洗濯物を干すスペースも竿が三本と限られていました。
週末は、洗濯機が争奪戦となります。
真夏は平日にやる場合もありましたが、ほとんどは週末に集中します。
ワイシャツ、スーツなどは週に2回、寮にクリーニング屋さんが出入りして
くれていたので、そこに出せば2,3日後に戻ってきました。
それ以外の下着類などを洗濯します。
常に洗濯の事は頭の中から離れませんでした。
5時に起きてやれば、一番にできます。
6時になれば、ライバルが2、3人います。
7時になったら、もう5,6人待ちです。
8時となれば、10数人待ちです。
それ以降はもう午前中はできません、午後になります。

それ以外にも本当に問題はたくさんあります。
一番の問題は天候です。
雨が降れば、洗濯物を干すところが屋内にはありません。
寮の近くにはコインランドリーはありません。記憶があいまいですが、徒歩で20分くらい離れたところまで歩かないとなかったと思います。
また、後ろで先輩たちが待っていると、洗濯機の前から離れられません。
なぜなら洗濯が終われば、すぐ脱水槽に移さないといけないからです。
もしその時に不在でモタモタしていると、外に出されてしまいます。
干すスペースも限られているので、シーツなどの大物は週末に干せません。
ですから僕は布団カバー、シーツを洗った記憶がありません💦
天候が悪い日が続くと、これは良いのか悪いのかわかりませんが、社内に購買部があり、ワイシャツ、下着、靴下などを社員番号ひとつで買えてしまうのです。
洗濯物が溜まってきた時は、つい購買部で買ってしまうので、どんどん下着、靴下が増えていってしまいました。
せっかくの休みなのに、寝坊してしまうとその日は午後に洗濯することになり、
一日が潰れてしまいます。
こんなことで大事な休日がなくなる……。
その日は、どうしようもなく、むなしい気持ちになりました。

今でも思い出すと、あの時のむなしい気持ちがよみがえります。
でも、60代になった今振り返ると、
あの「洗濯戦争」さえも、今では懐かしい思い出です。
あの頃は、一日を洗濯に潰されることが、本当に嫌だったんです。
まさか40年以上経って、あの洗濯ことを懐かしく思い出すとは、当時の僕は思ってもいませんでした。


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