清風寮物語⑦ 「実録 洗濯戦争」

昭和物語

寮の生活も4、5ヶ月経つと、色々なやっかいなことがわかってきます。

そのひとつが洗濯問題でした。

考えてみて下さい。

50人の共同生活です。

みんな洗濯します。

平日は忙しいので基本、洗濯は土日にやる人がほとんどです。

百貨店の営業マンは平日が休みなので、その人は平日にやりますが、それでも

多くの人が週末にやります。

僕は木曜が休みだったのですが、疲れ切って起きたら夕方だったこともあり、

結局週末にやることが多かったです。

洗濯機は屋上に二台置いてありました。

今のように、一度ボタンを押せば脱水までやってくれるわけではありません。

ですから若い人は見たことがない洗濯機だと思います。

洗濯機は、洗濯する槽と脱水する槽が分かれていました。

洗濯が終わった時点で、脱水の槽に移さないといけません。

そして洗濯物を干すスペースも竿が三本と限られていました。

週末は、洗濯機が争奪戦となります。

真夏は平日にやる場合もありましたが、ほとんどは週末に集中します。

ワイシャツ、スーツなどは週に2回、寮にクリーニング屋さんが出入りして

くれていたので、そこに出せば2,3日後に戻ってきました。

それ以外の下着類などを洗濯します。

常に洗濯の事は頭の中から離れませんでした。

5時に起きてやれば、一番にできます。

6時になれば、ライバルが2、3人います。

7時になったら、もう5,6人待ちです。

8時となれば、10数人待ちです。

それ以降はもう午前中はできません、午後になります。

それ以外にも本当に問題はたくさんあります。

一番の問題は天候です。

雨が降れば、洗濯物を干すところが屋内にはありません。

寮の近くにはコインランドリーはありません。記憶があいまいですが、徒歩で20分くらい離れたところまで歩かないとなかったと思います。

また、後ろで先輩たちが待っていると、洗濯機の前から離れられません。

なぜなら洗濯が終われば、すぐ脱水槽に移さないといけないからです。

もしその時に不在でモタモタしていると、外に出されてしまいます。

干すスペースも限られているので、シーツなどの大物は週末に干せません。

ですから僕は布団カバー、シーツを洗った記憶がありません💦

天候が悪い日が続くと、これは良いのか悪いのかわかりませんが、社内に購買部があり、ワイシャツ、下着、靴下などを社員番号ひとつで買えてしまうのです。

洗濯物が溜まってきた時は、つい購買部で買ってしまうので、どんどん下着、靴下が増えていってしまいました。

せっかくの休みなのに、寝坊してしまうとその日は午後に洗濯することになり、

一日が潰れてしまいます。

こんなことで大事な休日がなくなる……。 

その日は、どうしようもなく、むなしい気持ちになりました。 

今でも思い出すと、あの時のむなしい気持ちがよみがえります。

でも、60代になった今振り返ると、

あの「洗濯戦争」さえも、今では懐かしい思い出です。

あの頃は、一日を洗濯に潰されることが、本当に嫌だったんです。 

まさか40年以上経って、あの洗濯ことを懐かしく思い出すとは、当時の僕は思ってもいませんでした。

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